個別記事へのリンクを考える

いきなりですが、リンクの本質は、資源リソース資源リソースの関連を示すことにあります。

「リソース」という言葉だと漠然としていますが、例として以下のようなHTMLのa要素によるリンクを考えてみます。

<a href="http://example.com/some/resource">link text</a>

※ a要素の内容となる文字列("link text"の部分)を、以下「リンク文字列」と呼びます。

この場合、a要素の内容となっている言葉(文字列)と、href属性に書かれたURIが指すもの(文章、画像、音楽、アーカイブファイル等々)が関連付けられている、ということになります。この関連付けによって、URIが指すものがどんなものであるかを言葉で説明することができます。

このことを考えると、「ここ」というリンク文字列がなぜよくないのかについても納得が行くのではないかと思います。より端的な説明が、「Don't use "click here" as link text」邦譯(原文)にあります。

ユーザに行動(action)を喚起したい場合には、短くてしかも意味のあるリンクテキスト――以下に示すやうな――を使ひませう。

つまり、文脈に依存しており、URIが指すものが何であるかを説明していないために、「ここ」という言葉はリンク文字列として不適当なのです。

weblogや日記ツールでは、「permalink」や「この記事へのリンク」のような言葉、或いは「_」や「■」のような記号などが、リンク文字列としてしばしば用いられています。しかし、これらも「ここ」の場合と同じ理由により、多くの場合リンク文字列とするには不適当なのではないかと思います。

徒書の表紙では、記事の見出しが、その記事(のみ)を記したページへのリンクとなっています。これは、個別記事へのリンクを設ける場合に、その記事の題名をリンク文字列とすることが妥当と考えるからです。

他には、URI文字列そのものを個別記事へのリンクのリンク文字列としているところをときおり見かけます。

<a href="http://example.com/some/resource">http://example.com/some/resource</a>

この場合は、URIが指す記事URI文字列が関連付けられているわけで、ある意味これ以上に妥当なリンク文字列も無いとも言えそうですが、同語反復的で何か新しい情報が加わるわけでもなく、a要素の使い方としては勿体無いような気もします。せっかくa要素を使うのであれば、URIが示すリソースに言葉で意味を与えるようにした方がよいのではないかと思うのです。

参照した資料