「××は窓から投げ捨てろ」という言葉

CSSでデザインされているサイトの周辺では時折「××は窓から投げ捨てろ」(××にはブラウザの名前が入る)というような言葉を目にすることがあります。

当サイトでもCSSを利用しており、光栄にも前記リンク集に掲載されていたりしますが、その言葉の考え方には今ひとつ賛同できないところです。

W3Cが策定しているHTMLの仕様は、環境への非依存後方互換性についてかなり深く(素人が及びもしないほどに)考慮された設計となっています。要するに仕様に従ってHTML文書を書けば、それだけである程度誰にでもどこからでも(古いブラウザからでも)利用し易いページになるわけで、だからこそ仕様に妥当なHTML文書には強みがあるのであり、自分もそのようにしている次第です。

ある特定のブラウザを否定することは、そのような利点を持つHTMLを使って文章を公開する目的とは矛盾するように思います。

CSSによる高度なスタイル表現を行おうとしている人にとっては、CSSの仕様に対応しようとしない、または仕様と異なる表示を行うブラウザが厄介なものであることは、理解できます。しかしHTMLで文章を公開する目的を考えた場合、「CSSによる視覚表現を多くの人に見てほしい」「文章の内容を広く伝えたい」のどちらを取るかと問われれば迷うことなく後者なわけで。あるブラウザに対応するのが面倒だと思うことはあっても、否定する気はさらさらないです。

(2004年5月6日)

北村曉 kits@akatsukinishisu.net