「宇宙」の真の意味とは?

「宇宙」はcosmosの意味で使われる言葉だが、この「宇」と「宙」それぞれの字の意味は何か、考えたことはないだろうか。僕はある日ふとそれが気になったので、辞書をひいてみた。

「宙」の字は、いまでは「宙に浮かぶ」「宙返り」などと「空間」の意味で使われているが、これは日本でだけの使われ方で、本来の意味ではないらしい。実は空間の意味を持つのは「宇」のほうである。

では「宙」は本来どういう意味なのか? 辞書によると「過去・現在・未来」とあり、つまり時間を表している。してみると「宇宙」という言葉は、空間と時間を合わせた、正に我々の住む(3+1)次元空間を表していると言える。「宇宙」というと今まで「(全ての)空間」というイメージがあったのだが、実はそれだけでなく時間の概念もそこに内包していたのだ。

僕は「過去・現在・未来」という意味を一つの字に与え、そしてそれと空間の意を持つ字を組み合わせて「宇宙」という語を作った、古人の哲学に深い感銘を覚えた。

(1999年5月15日)

北村曉 kits@akatsukinishisu.net