徒書

徒に何か書いています。


FMC Advent Calendar 2023 (3) 思考過程

この記事は FMC Advent Calendar 2023 18日目の記事です。前日はふみさんの FMC Advent Calendar 2023 17日目 でした。明日はさーもんさんのFMC Advent Calendar 2023 19日目 です。

北村曉 (@kits_) です。18日目の当日に本記事を出せずすみません…(19日に出しました)。引き続き Block Building で (3) のスクランブルを解いていきます。

scramble

(3) R' U' F L' B' D' L2 U2 R2 F2 R2 F' U2 F' D2 R2 D2 L D2 U L B D U' R' U' F

EO探索

ペアが2つあってBBには良さそうなスクランブルです。ペアを保存しつつEOを解決するには、ということでLR軸の L2 B2 U R を見つけ、そこから探し始めました。

skeleton まで

EO から B の1手で 1x2x3 からエッジが1つ足りない状態になります。こういう 1x2x3 ブロックができそうな状況だと 2x2x2 よりそちらのルートを採用したくなる傾向がなんとなくあります。

D または D2 で下半分を避けて、赤青エッジを F' U F とF2Lの要領で入れ、D' または D2 で戻して 1x2x3 ブロックを作ると、そこから R2 の1手で 2x2x3 ブロックにできました!

L2 B2 U R //EO (4/4)
B D F' U F D' //123 (6/10)
R2 //223 (1/11)

または

L2 B2 U R //EO (4/4)
B D2 F' U F D2 //123 (6/10)
R2 //223 (1/11)

メモによるとこの先は、

L2 B2 U R //EO (4/4)
B D2 F' U F D2 //123 (6/10)
R2 //223 (1/11)
L2 D B D' B' //F2L-1 (5/16)
L2 B2 U R //EO (4/4)
B D F' U F D' //123 (6/10)
R2 //223 (1/11)
L2 D B D' B' //F2L-1 (5/16)
F' D F D2 F' D' F D' //3C1T (8/24)

の2通りのルートを探したのですが、前者はその先をうまく続けられず、後者は手数がやや多くなりました。

そこで Inverse に切り替えたところ、

L2 B2 U R //EO (4/4)
B D F' U F D' //123 (6/10)
R2 //223 (1/11)
(D' L2 D' F' D F) //F2L-1 (6/17)
(D B D' B') //3C1T (4/21)

というまあまあ短い手数で 3C1T まで行けたので、これを採用としました。

インサート

skeleton:
L2 B2 U R
B D F' U F D' R2
B D B' D' 
F' * D' F D L2 D'

* = F D F' U2 F D' F' U2 //3C (8-4/25)

skeleton:
L2 B2 U R %
B D F' U F D' R2
B D B' F' U2 F D' F' U2
D' F D L2 D'

% = R' U' L2 U R U' L2 U //Finish (8-4/29) 51:19

solution:
L2 B2 L2 U R U' L2 U
B D F' U F D' R2
B D B' F' U2 F D' F' U2
D' F D L2 D'

インサート2つはどちらも4手キャンセルのものを見つけられ、21 + 4 + 4 = 29 手の解が出せました! sub30が1つでも出せたので良かったです。

結び

今回は割と悩まずに sub30 を出すことができて良かったです。とはいえ sub30 がほぼ運頼みになっているのが現在の自分の実力であり悔しいところでもありますね。


FMC Advent Calendar 2023 (2) 思考過程

この記事は FMC Advent Calendar 2023 10日目の記事です。前日はうえしゅうさんの FMC Advent Calendar 2023 9日目 でした。明日は Shota さんの2つめの記事の予定です。

北村曉 (@kits_) です。引き続き Block Building で (2) のスクランブルを解いていきます。

scramble

(2) R' U' F D2 F' B R2 U B2 R2 F' R' D2 L F2 D2 F2 D2 R' L2 U2 D2 F' R' U' F

EO探索

3軸の bad edge を確認したところUD軸でU面に3つ、D面に3つという感じでいい位置関係だったので、取り敢えず D' F2 U を試したところペアが3つ出来ていたので、そのまま探し始めてました。

skeleton まで

最初に見つけたのはこのようなルート。

D' F2 U //EO (3/3)
F2 R F' R2 //222 (4/7)
U2 F' L' F (L2) //223 (5/12)
L' B2 L B //F2L-1 (4/16)

ただこの F2L-1 の状態はLL(U面)のエッジ反転が多く、この先の手数がかかりそうだったので、一旦見直し。

次によさそうに思えたのが、2x2x2 の後で NISS した以下のルート。

D' F2 U //EO (3/3)
F2 R F' R2 //222 (4/7)
(B' L' B2 L2 U2) //223 (6/13)

これ自体はいまいちだったのですが、これは白緑赤の 1x2x2 を作るのにL面の回し方で色んなパターンがあるなと気づき、

(L B' L' B2 L2 U2)
(L B' L2 B2 L' U2)
(L2 B' L' B2 L2 U2)
(L2 B' L2 B2 L' U2) !

と探したところ、最後のパターンから更に NISS して

D' F2 U //EO (3/3)
F2 R F' R2 //222 (4/7)
(L2 B' L2 B2 L' U2) //223 (6/13)
L2 B2 //F2L-1 (2/15) !

と+2手での F2L-1 に辿り着けたので、最終的に以下の 21手3C1T を採用としました。

D' F2 U //EO (3/3)
F2 R F' R2 //222 (4/7)
(L2 B' L2 B2 L' U2) //223 (6/13)
L2 B2 //F2L-1 (2/15)
B L' B' L' B L2 B' //3C1T (7-1/21)

インサート

skeleton:
D' F2 U
F2 R F' R2
L2 * B' L' B' L' B L2 B'
U2 L B2 L2 B L2

* = L' F' L B' L' F L B //3C (8-5/24)

skeleton:
D' F2 U
F2 R F' R2
L F' L B' L' F B' L' B L2 B'
U2 L B2 L2 % B L2

% = U' F' U B2 U' F U B2 //Finish (8-1/31) 57:50

solution:
D' F2 U
F2 R F' R2
L F' L B' L' F B' L' B L2 B'
U2 L B2 L2 U' F' U B2 U' F U B' L2

インサートは1つ目は -5 と良かったのですが、2つ目が -1 といまいちで、最終的に 24 + 7 = 31 手の解となりました。

結び

この回ではあまり悩まずに上記の解が出せましたが、上を目指すなら EO からもっと多くのルートをチェックできるようにならないといけないのだろうなと思います。まだまだ1つ解を出すだけでも時間一杯使ってしまいますが…。


Master FTO を目隠しで解く(Master FTO BLD)

この記事は北村曉(@kits_)によるSpeedcubing Advent Calendar 2023 8日目の記事です。7日の記事はじゅうべえさんの ラッチキューブ ダイジェスト でした。9日の記事は平井さんの メガミンクス 上達法 完全版 です。

前書き

ほぼ2年前に Master FTO の目隠し解法について取り組んでおり、実際に2021年12月25日に達成していました。

成功して特に記事にもせずそのままになっていたのですが、そろそろ忘れないうちに解法について文書化しておこうと思った次第です。なお FTO の目隠し解法 を理解していることを前提とした記事となっているため、その点ご了承の程お願い致します。

Master FTO の配色について

一般に販売されている FTO は LanLan 製、Master FTO は mf8 製とメーカーが異なるため、配色にも多少の差異があります。

自分が Master FTO BLD を行った際は、白上・青正面 の向きとしていたので、本記事でも基本的にその向きで説明していきます。

[mf8 Master FTO 白上・青正面]

なお記事中では説明のため以下のような Twizzle Explorer による図を掲載しますが、こちらは LanLan FTO の配色となっているため、実際の mf8 Master FTO とは配色が異なることにご注意ください。

[Twizzle Explorer による Master FTO 画像]

向きの決定

BLD 分析を行う前段階として、パズルの向きを決定する必要があります。

Master FTO は(FTOと異なり)面の中心、回転軸となる箇所に三角形(1色)のパーツがありますが、注意すべき点として、3x3x3 のような立方体パズルとは異なり、Master FTO の中心パーツの位置関係は 固定ではない という性質があります。

ただし完全に自由移動が可能というわけではなく、上面(U)および背面(B)の中心パーツ(以降、センタートライアングルと呼びます)を基準に向きを決定することで、R面、L面のセンタートライアングルも正しい位置となります。この時他の4面(F, D, BR, BL)のセンタートライアングルの位置関係は、以下の3通りがあります。

便宜上、以下のようなナンバリングを使っていました。例えば F, BL, BR の3点交換だった場合は「あかた」、FとD・BRとBLでの2点交換2組だった場合は「あさ、かた」のようにして覚えればいいでしょう。

[センタートライアングル ナンバリング]

実行順としては、センタートライアングルの解決は一番最後に行うので、手順については後ほど説明します。

エッジトライアングル手順

[エッジトライアングル]

上図で示した、エッジの中央に頂点で接するトライアングルパーツのことを、本記事では「エッジトライアングル」と呼びます。このパーツは、センタートライアングルと共に Master FTO にて新しく出現するパーツとなります。とは言え、手順としてはそこまで難しいことはありません。

Fl - BRf - BLu の交換: [Rw U Rw', Us]

[Fl - BRf - BLu の交換]

Fl - BRf - Dl の交換: [Rw U' Rw', Us]

[Fl - BRf - Dl の交換]

Fl をバッファとし、この2手順を覚えていれば、あとはセットアップでどうにか解決できるでしょう。一応ナンバリング例も掲載しておきます。

[エッジトライアングル ナンバリング]

なお「F面を含む3点交換」が必要になる場合は、R で Fr を BRf に、U で Fu を BLu にといったセットアップが有用です。

(以下記載中)


FMC Advent Calendar 2023 (1) 思考過程

この記事は FMC Advent Calendar 2023 3日目の記事です。前日はうえしゅうさんの FMC Advent Calendar 2023 2日目 でした。明日は Shota さんの FMC Advent Calendar 2023 4日目 です。

北村曉 (@kits_) です。日本では4年ぶりのWCA大会開催をきっかけにFMCが大いに盛り上がりましたが、自分の大会記録は残念ながら3DNFでした…。反省して今後は DR も学んでいきたいと思うものの、今年のアドカレでは引き続き Block Building で解いていきます。

scramble

(1) R' U' F D B' U' L U B' R U' L2 F2 U2 R2 D' R2 L2 U' L2 B2 F D R' U' F

EO探索

EO は取り敢えず3軸とも調べたところどれも bad edge が6個でしたが、RL軸で見るとR面に1つ、M列に2つ、L面に3つと比較的よさげだったので、そちらから探していきました。

L' B F U2 R
L' F U2 B R
L' U' F B R
L' F' B' D2 L
L' D B' F' L
L' F' D B' L

と探したところで、結局一番最初に見たやつがペアが2つ出来ててよさげだったので、こちらから探していきました。

skeleton まで

最初に見つけたのはこのようなルート。

L' B F U2 R //EO (5/5)
L2 U L2 //pseudo 222 (3/8)
D F D' F2 //pseudo 223 (4/12)
B' D B F' (U2) //F2L-1 (5/17)

F' U F U' R2 //2C2C1T (5/22) ?

白赤緑ペアを生かして 1x2x2 を作っていったところ、そのまま疑似 2x2x2 ブロックになったのでそのまま採用。ただ緑橙黄のペアもそのまま使えそうだったので、premove を入れずにそのま 1x2x2 ブロックにして、F2 で疑似 2x2x3 ブロックとしました。さらに DLB に2x2x2 ブロックができそうだったのでここでも premove を入れずにエッジを入れ、F' して疑似 F2L-1 の形までになりました。

このように疑似ブロックができても premove を入れずにそのまま探索してみたら割とすぐ揃った、ということは時々あります。

そこから sledgehammer のようにすると残り5コーナーにはなったのですが、よく見ると1CO(twist)の入った2C2C1Tの形でした。これだと3回インサートしないといけないので、別のルートを探すことに。

次に、疑似F2L-1の状態から R2 するとペアができるので、それを生かす形で

L' B F U2 R //EO (5/5)
L2 U L2 //pseudo 222 (3/8)
D F D' F2 //pseudo 223 (4/12)
B' D B F' //pseudo F2L-1 (4/16)

R2 U' R2 U R2 U' R2 U R2 U2 B U B' U' //3C1T (14/30) ?

とすると 3C1T の状態にはなったのですが、さすがに30手から2回インサートとなると手数かかり過ぎるので、さらに見直し。

疑似F2L-1のところに U' を加えて異なる疑似F2L-1 にしてもみたのですが、LL(R面)のエッジの状態がよくないような気がしてこちらも採用しませんでした。ただ今見直すと R2 からの sledgehammer で5Cにはなったので、なぜこれを見逃していたのだろうという心境です。(実際に解いてから1週間ほど経過してこの記事を書いています)

L' B F U2 R //EO (5/5)
L2 U L2 //pseudo 222 (3/8)
D F D' F2 //pseudo 223 (4/12)
B' D B F' U' (U) //F2L-1 (6/18)

R2 U' B U B' //5C (5/23) ?

何か他のルートはないかを考えたところ、疑似2x2x3ブロックを作る時の最後の F2 を F' で保留して、その先を進められないかということを思いつきました。そうすると F2L-1 まで進めたところで余分にペアができる形になり、それを生かして 23手 3C1T の形に持ち込めたので、こちらを採用しました。

L' B F U2 R //EO (5/5)
L2 U L2 //pseudo 222 (3/8)
D F D' F' //+122 (4/12)

B' D B F2 (U2) //F2L-1 + pair (9/17) !
F D R2 D' R2 F' R2 //3C1T (7-1/23)

インサート

skeleton:
L' B F U2 R
L2 U L2
D F D' F' B' D B F'
D R2 D' R2 * F' R2 U2

* = R2 F L F' R2 F L' F' //3C (8-3/28)

skeleton:
L' B F U2 R
L2 U L2
D F D' F' B' D B F'
D R2 D' F L F' R2 F L' F2 % R2 U2

% = B L' B' R2 B L B' R2 //Finish (8-2/34) 57:46

solution:
L' B F U2 R
L2 U L2
D F D' F' B' D B F'
D R2 D' F L F' R2 F L' F2 B L' B' R2 B L B' U2

インサートはまあまあといったところで、それぞれ3手・2手のキャンセルで+11手、34手の解となりました。

結び

今回は疑似2x2x3を敢えて崩した1手インサートの応用が割と功を奏したソルブになったと思います。

なお時間外で探したところ、最初のルートの F2L-1 から以下のような 29手3C の形ができるのを見つけました。optimal 33手ということなので時間内に見つけられなくて1手損はまあ仕方ないかなという気がします。

L' B F U2 R //EO (5/5)
L2 U L2 //pseudo 222 (3/8)
D F D' F2 //pseudo 223 (4/12)
B' D B F' (U2) //F2L-1 (5/17)

R2 F R2 F' R2 F R2 D R2 D' F' R2 //3C (12/29)
//optimal 33 moves

FTOスピード解法に関するメモ作成とその補足

この記事は北村曉による Speedcubing Advent Calendar 2022 の8日目の記事です。7日目の記事はじゅうべいさんの「Icosamate ダイジェスト: J式で行こう」でした。9日目の記事はwajimajiさんの「RexCubeのスピード解法」です。

FTO のスピード解法については How to Solve an FTO (Bencisco Method) の動画に全てが載っていると言っても過言ではありません。英語での解説ですが、字幕で日本語の自動翻訳と合わせて観れば十分理解は可能かと思います。

…ではありますが、情報源が動画であるという状況は、ちょっとした情報を見返すのが難しくもあったりします。例えばコーナー3点交換の手順の回転記号はどうだったか、など。

また、FTO の解法を人に教える際に、回転記号や解法の流れなどの基本的な情報をまとめた文書があると便利だなと思ったことがありました。

そこで、Bencisco Method の動画を観る時、あるいは対面で解法を教える際に参照できるよう、基本的な情報(回転記号、パーツ名称、解法の流れ、必要最低限の手順)をまとめたチートシート的なものを作成してみました。

もしFTOスピード解法を覚えてみたいという方がいらっしゃいましたら、この文書と合わせて動画を参照などして頂ければと思います。

以下はメモ作成に関しての補足です。

回転記号について

Bencisco Method における回転記号は、U を白面とすると、頂点で接する赤の面が F、辺で接する緑の面が R ということになっています。この定義にのっとると、Second center および Last 2 centers (L2C) を揃える際には R, Rw, U を回すということになるので理に適った定義ではあるのですが、例えばコーナー交換の手順では F' U F' D' F U' F' D F' のように、F面を右手で(まるでR面かのように)回すような場合もあり、ちょっと混乱しがちなところでもあります。

これは、FTO では回転記号 F っていってるけど実際は R のように回す場合がある、ということで納得していくしかない気がします。FTOメモの手順では「どこがF面か」についても図に記載されていますので、それに注目しつつ手順を参照して頂ければと思います。

ピースの名称について

Bencisco Method では一色のみの三角形ピースを、その形状からトライアングル(triangle)と呼んでいます。おそらく立方体の多分割パズルに慣れているとつい「センター」と呼んでしまいがちになるかと思いますが、Bencisco Method における「センター」という言葉は別の意味(エッジ3つ、トライアングル3つで形成される面中央の六角形の組合せ)を示す用語となっています。

FTOメモでも Bencisco Method に従ってそのまま「トライアングル」として記載していますので、その点ご留意頂ければと思います。

なおセンターを2分割した状態の large trapezoid, small trapezoid という用語については、分かりやすさを優先して「大台形、小台形」と記載しています。

おすすめのコーナー交換手順

Bencisco Method の動画の情報とは別に、自分が個人的に使っているコーナー交換手順を「別の交換手順」としてFTOメモに記載しています。

※リンク先で Twitter に載せた動画が見れます。

この手順は、Fを右手で回すと交換されるコーナー3点がL面側、つまり正面に近い側に位置するため、視認しやすいと思います。よろしければご利用頂ければ幸いです。

メモとかでなく日本語の解法解説はないのか

…そのうち作れたらいいなと思っております。